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この世はどうしても順番を付けなければならないことが無数にあります。
物事には価値を付けなければ商売にならないので、順番をつけて「付加価値」として売るのでしょう。人にも順番を付けて、人気ランキングが出来てしまいます。
順番を付けるのに解りやすい記号は数字ですね。1や2などです。次にAやBです。そして若い方には馴染みがないかもしれませんが、「甲乙丙」があります。
この「甲乙丙」は漢字を見るとそれぞれ、繋がりのない気がします。「甲乙丙」という言葉はどんな意味があるのでしょうか。
この記事では「甲乙丙」の意味や語源、英語の表現や類義語、使い方の例文をご紹介します。
「甲乙丙」の意味と語源
「甲乙丙」の意味
それでは「甲乙丙」の意味をご紹介します。
まずは読み方ですが「甲乙丙」は「こうおつへい」と読みます。
「甲乙丙」とは、「十干に基づいた序列を表す記号」「十干の一部」という意味です。
「甲乙丙」は、それぞれ「甲」「乙」「丙」という役割があります。
「甲乙丙」の語源
続いて「甲乙丙」の語源をご紹介します。
「甲乙丙」は、その意味にもあるように「十干(じっかん)」の一部で、「十二支(じゅうにし)」と同じ「干支(えと)」です。「十干」は中国の思想で陰陽・五行説と結びつきが深いです。「十干」の内容は「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」で時間や方角を表すときに使う記号であり、「十二支」と合わせて年月、日時や方角を詳しく表すことができます。その「十干」の最初に「甲・乙・丙」があります。
それぞれ漢字を紐解いていくと、「甲」は「十干」の最初の漢字で亀の甲羅の「甲」です。甲羅は非常に硬いので硬い殻で覆われた「種」をイメージした漢字ということ。物事は「種」から始まる、最初の漢字になりました。
次に「乙」ですが、「乙」は「十干」の二番目ですね。「種」から目がでてクネクネと伸びるような「芽」のイメージなので二番目になりました。「乙だね」とか、「乙な味」などと使用されます。これは「一番ではないけど、ちょっといいものだ、洒落ているね」ということです。
最後に「丙」ですが「種」から「芽」が出て「葉」が広がったイメージです。魚の尾びれの形に似ているとも言われますが、「物事の三番目」という意味があります。
このように、それぞれ漢字に意味があり現代では契約書などで「甲乙丙」が使用され、順位でも「甲」が一番となり「丙」は三番なのです。一番だから良い、二番だから普通、三番だから悪いということは元々なく、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」という生物の一生を表わした言葉なのです。
種から芽が出て成長し花が咲き熟して枯れ、そして種ができる、それを用いて占いをされている方もいますね。
「甲乙丙」の使い方
続いて、「甲乙丙」の使い方を例文でご紹介します。
【例文】
- 「契約書の甲乙丙、どれが僕に当てはまるのかな」
- 「お母さんの時代の成績表は、甲乙丙で表されていたんだって」
- 「甲乙丙は、十干のなかの最初に登場する記号のようなものです」
- 「甲乙丙にはそれぞれ意味があり、植物の成長をあらわしています」
- 「人に甲乙丙と順位を付けるのは、非常に失礼だと思います」
「甲乙丙」は物事の順位を表すときに使われますが、「甲乙丙」自体に元々は順位などないのです。
「甲乙丙で(仕分ける)」「(契約書の)甲乙丙」などと使用されることが多いですね。
「甲乙丙」の類義語と英語表現
「甲乙丙」の類義語
「甲乙丙」の類義語をご紹介します。
- 松竹梅(しょうちくばい)
「松竹梅」は、日本では縁起物とされており「松」「竹」「梅」と独立した単語なのであり、お正月にはそれぞれ欠かせないアイテムです。
「甲乙丙」と同じでお弁当などのランク付けで使用されることが多いですが、元々は「松」「竹」「梅」に順位はありません。
「甲乙丙」の英語表現
最後に、「甲乙丙」の英語表現をご紹介します。
- ABC
【例文】
- I express a rank of the liquor in ABC(酒のランクをABCで表す)
- Which positions of the ABC are my results?(僕の成績はABCのどの位置ですか?)
「ABC」は、「甲乙丙」と同じ使われ方でランクを表すときに使用されます。英語で「甲乙丙」は「kouotsuhei」ということになりますが、同じ働きをする言葉は「ABC」です。
まとめ
以上、「甲乙丙」について、ご紹介してきました。
まとめると、以下の通りです。
読み方 | こうおつへい |
意味 | 「十干に基づいた序列を表す記号」「十干の一部」のこと |
語源 | 「十二支(じゅうにし)」と同じ「干支(えと)」である「十干(じっかん)」の一部で、その「十干」の最初にある「甲・乙・丙」が由来 |
類義語 | 松竹梅(しょうちくばい) |
英語表現 | ABC |
「甲乙丙」は1つの言葉ではなく、それに続く「丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」があります。この漢字はそれぞれ意味を持って役割があるのです。「甲乙丙」となると日本ではランク付けをする記号として使用されお酒の「甲類」「乙類」などがあります。しかし、元は「甲」が一番いい、「丙」が三番で悪いというものではありませんでした。契約書でも「甲乙丙」と書かれていますが、それは単なる記号にすぎません。誰が偉い、誰が下などはないのです。
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