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あなたは「無視」したことありますか?
「無視」というと陰湿で悪質なイメージがありますが、実はそのような悪い「無視」ばかりではありません。
問題の範囲外のことで、気に留めなくても良いという「無視」もあるのです。
これは人がいるのに存在を「無視」したり守らなくてはならない法を「無視」したりすることではなく、「度外視」ということです。
では、この「度外視」がどんな「無視」なのか見ていきましょう。
この記事では、「度外視」の意味や語源、英語の表現や類義語、使い方の例文をご紹介します。
「度外視」の意味と語源
「度外視」の意味
最初に、「度外視」の意味をご紹介します。
まずは読み方ですが、「度外視」は「どがいし」と読みます。
「度外視」とは、「計算の範囲に入れず、問題にしない」という意味です。
商売において儲けを無視して、ボランティアのようなビジネスをする時も「度外視」と使用します。
「度外視」の語源
続いて、「度外視」の語源をご紹介します。
まずは、言葉の意味から説明しますが、「度外」という言葉があり、「法度(はっと)の外」「範囲外」という意味で使われます。
「視」は「~とみなす」「考える」「~扱い」という意味です。
そして、「度外視」は中国の故事から生まれた言葉です。
大昔、中国の「前漢」の国を滅ぼした王莽(おうもう)さんは「新」という国を築きましたが、すぐに劉秀(りゅうしゅう、後の光武帝)さんが奪い「後漢」の国を築きました。
光武帝(こうぶてい)となった劉秀さんの部下たち二人は、「他にも抑えておかなければならない国が二つありますから、すぐにやっつけましょう」と提案しますが、光武帝は「ふたつの国は度外視しなさい」と言いました。
どちらの国も自国の「法の範囲の外にある」ので、無視しておいて構わないということです。
その理由は、二つの国は放っておいても降伏か自滅するしかないので、我が国の大切な兵士を無駄に戦場に向わせるのは忍びない、早く帰郷させて休ませたいという優しさからだったのです。
おそらく自国の兵士も大変だし、無駄な殺生はしたくなかったのでしょう。
光武帝は苦労性だったので、下々の者のことがよく解る人物でした。
「法の範囲の外にある」というのが「度外視」ということなのです。
「度外視」は光武帝の優しさから出来た言葉なのです。
「度外視」の英語表現と類義語
「度外視」の英語表現
次に、「度外視」の英語表現をご紹介します。
- Disregard(度外視)
【例文】
- This project disregards a profit(このプロジェクトは儲けを度外視している)
- I disregarded the opinion of the wife and raised a company(妻の意見は度外視して会社を起こした)
「Disregard」は「無視」という意味です。
「無視」という単語は「Ignore」というものもありますが、こちらは「(人や事実、法などを)無視する」ことで「Disregard」は「軽視する、考慮しない、問題にしない」ということで使用されます。
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「度外視」の類義語
それでは、「度外視」の類義語をご紹介します。
- 閑却(かんきゃく)
- 黙殺(もくさつ)
「閑却」とは「いい加減に放置すること」という意味で、「打ち捨てる」「見限る」「見放す」ということです。
「黙殺」は「問題にしないで無視をする」ということです。見て見ぬふりをすることも表します。
「度外視」する人は、ある一点に集中する「熱視線」や偏りがちな「一辺倒」というところもありますね。
「熱視線」とは?意味と語源、使い方の例文【類義語・英語表現】
「一辺倒」とは?意味と語源、英語表現・類義語【使い方の例文】
「度外視」の使い方
最後に、「度外視」の使い方を例文でご紹介します。
【例文】
- 「この計画は、政治的な問題を度外視して住民本位で進めている」
- 「あの社長は、採算を度外視してでもこの商品を作って売っているんだ」
- 「貧乏人を度外視している国の政治は、いつか潰れる日が来る」
- 「採算を度外視しているというけれど、長い目で見れば将来は元が取れるようになっている」
- 「彼は出世を度外視して、労働組合の運動に参加している」
「度外視」は利益を省みない時に使われますね。利益のことなど「無視」するということです。
「(採算を)度外視して」「度外視して(進める)」などと使用されることが多いですね。
まとめ:「採算を度外視」はいつか採算が取れる
以上、「度外視」についてご紹介してきました。
まとめると、以下の通りです。
読み方 | どがいし |
意味 | 計算の範囲に入れず、問題にしないこと |
語源 | ・「度外」=「法度(はっと)の外」「範囲外」、「視」=「~とみなす」「考える」「~扱い」 ・中国の故事から生まれた言葉 |
英語表現 | Disregard(無視) |
類義語 | ・閑却(かんきゃく) ・黙殺(もくさつ) |
問題になりそうなものを「度外視」して、物事を進めるのは勇気と的確な判断が要りますね。
自分の生活を苦しめる場合もあり得るのですから。
しかし、「採算を度外視」したとしても、何も見返りが無いわけではありません。
還ってくるものがお金ではなくても、「感謝の心」として還ってくれば「度外視」して正解だったということです。
「感謝の心」が積まれて、いつか採算が取れると思います。
「度外視」とはそのような「感謝の心」の貯金ができる「無視」なのでしょうね。
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